Summer Day
- 324shimizu
- 7月20日
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更新日:7月27日
七月の風は、どこかしら少年のような顔をして吹き抜けていきます。森の雫の田んぼもまた、その風のなかで静かに息づいておりました。
青く澄みきった空の下、稲たちはまっすぐに天を仰ぎ、葉先を陽にかざしています。水面には太陽がゆらゆらと揺れ、稲の影が涼やかに踊ります。見慣れた風景のはずなのに、足をとめるたびに新しい美しさに出会うような――そんな時間が、ここにはあるのかもしれません。
この季節の稲は、まだ言葉を持たぬ子どものように、ただひたむきに育とうとします。だからこそ、私たちにできるのは、語りかけ、耳を澄ませ、水と土の機嫌を丁寧に伺いながら、静かに寄り添うことだけ。
夏の日差しは強く、農に携わる者にとっては厳しさもありますが、不思議なことに、稲の成長を見つめていると、その暑ささえも祝福のように感じられます。
季節がめぐり、稲がその手に黄金の実りを抱える日まで――

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